データ上から見える問題

歯科医院の経営をデータから見る

歯科医師過剰問題でも取り上げていますが、
需要と供給のバランスが問題でしょう。
現在の状況では、データ上「歯科医は儲からない」
と言っても過言ではないかもしれません。
例えば、厚労省がおこなっている医療経済実態調査などの資料によれば
(これは誰でも閲覧することができます)歯科開業医の実質の儲け、
収支の平均値が1か月当たり120万円~130万円程度で、
これを歯科医1人当たりの年収に直すと730万円~800万円になるので、
やはり歯科医は儲かるんだなぁと思いますが、
実は歯科医師の4人に1人くらいは年収200万円以下となっているのです。
特に地方で歯科医師が過剰になっている地域では収入が減少して
経営状態がどんどん悪化する傾向にあり、
ある地域の開業歯科医の平均年収は300万円以下となっている、
なんてことも統計から出てきます。
調査会社である帝国データバンクによると
1987年から2004年までに発生した医療機関の倒産は全国で628件あって、
その約43%268件を歯科医院が占めているというから驚きです。
高額な先行投資(これには私立大学歯学部授業料や開業資金等も含みます)が
必要であることを考慮しなくてはいけなくて、
その投資額を払っていくということで、その分を除いた実質的な収入は
一般的なサラリーマン程度であるのではないか?との指摘があります。
一般的に歯科医師は医者の中でも高収入と思われているのですが、
実際の平均収入はそれほど多くはないのではないでしょうか。
また、収入が医師増加に伴い、年々悪化するため、
歯科医はワーキングプアとも言われるようになったりもしました。
その影響は私立の医科大にまで影響し、
東京歯科保険医協会が行ったあるアンケート調査では
「子どもを歯科医師にしようと思う」と答えたのは7%と、
1983年の23%から大幅に減少しています。
学生が集まらなくなった歯科大は廃校に追い込まれていくでしょう。